理想のキッチンをイメージすると、多くの方は対面型のキッチンを思い浮かべるのではないでしょうか。
ちなみに、我が家(マンション)も対面キッチンです。
少し古いデータですが、新築の家の6割以上が対面キッチン。
最近は、メーカーによっては9割近いそうです。
建築士で片づけのプロ
暮らsing あさおか まみ
片づけサービス・間取り相談・片付け講座やってます
(ご訪問・オンライン)
対面キッチンで後悔しないように
上記のデータにもあるように、キッチン=対面というのが、最近の間取り。
ですが、対面にしたことによって、ダイニングスペースが狭くなってしまったり、使いにくそうと感じるプランを目にすることもあります。
とある間取り相談のお客様。
ビルダーから提示された図面は、対面キッチンのプランでした。
対面キッチンがご希望でしたか?とお聞きすると、そうではないそう。
希望じゃなくても、デフォルトで対面キッチンな現状なわけです。
プランを拝見すると、対面キッチンである必要性やメリットをあまり感じなかったので「壁付けキッチンはどうですか?」とお話しさせていただきました。
新居を検討の際、「よく分からないけど、とりあえず対面キッチンにしておけば間違いないでしょう」とする前に、ぜひ、考えてみてください。
今回、お客様にご了承いただいたので、ご相談の事例とともに対面キッチンについて考えてみました。
対面キッチンのデメリット
あえていうならデメリット、という項目からお伝えします。
間取りに限らず家づくりで色々と決める上では、何を選択してもメリットとデメリットはあります。
ご自身の暮らしや好み、条件に沿って、優先順位を明確にして決定されるのが重要です。
対面キッチンは床面積が必要
キッチンは、リビングとダイニングと繋がった一体とした空間にすることが多いですよね。
それぞれの部屋で、どうやって過ごすか?
何をするか?によって、必要な家具があり、必要な広さがあります。
以下は、同じ広さのLDKで、対面キッチンの場合と壁付けキッチンの場合の比較です。
赤いラインは、広さが対比できるよう目印のために書いたものです。
冷蔵庫の壁と、ソファーの間の広さは同じになっています。
対面キッチンは、床面積が必要なので、ダイニングテーブルを置こうと思うととスペースが狭くなってしまいます。
リビングに、ソファー・テーブルを置きたい場合は、必要なゆとりの広さを確保できるかどうか考える必要があります。
このプランで、壁付けキッチンにした場合は、リビングスペースに広い空間が確保できます。
家具を移動させれば、子どもが広々と遊べるくらいの広さも確保できます。(黄色に塗られた部分がフリースペース)
対面キッチンの場合も(下の図)決して狭いわけではありません。
どんな家具を置くかにもよりますが、キッチンの形状によって部屋の使い方が変わるというのが、イメージしてもらえるかなと思います。
今回のお客様の間取りの事例を元に説明しているので、全体のプランが変われば条件は変化します。
ダイニングとの動線が長い
下の図は、お客様に提案した壁付けキッチンです。
料理を盛り付けたら、配膳は振り返ればすぐ。
食後の片付けも、すぐにシンクへ食器を移動できます。
また、食事の席にも近いので(赤いメッシュの椅子)途中でキッチンに立つのもすぐですし、冷蔵庫にも近くて便利です。
一方、対面キッチンの場合、配膳するのにカウンターに一旦置くか、手渡しする必要があります。
もしくは、自分でテーブルまで運ぶかです。
とはいえ、歩く歩数としては大したことはないので、ストレスに感じないのであれば大丈夫。
私は、今の住まいの対面キッチンでは、コンロと冷蔵庫が、食卓から遠いことにストレスに感じています。
対面キッチンのメリット
よく言われている対面キッチンのメリットが、「我が家にとって、本当にベストなのか?」と考えるキッカケになるといいなと思います。
背面の壁が収納になり容量を確保しやすい
これは、やっぱりメリット!キッチンの背面が収納場所として確保できるので、手が届きやすい位置に収納ができます。
ただし、背面に出入り口があったり、窓があったりと壁じゃない場合は変わってきます。
家族とコミュニケーションが取れる
これは、一番よく言われたり、認識されていることでは無いでしょうか。
あなたは、調理をしている最中、家族とコミュニケーションを取っていますか?
私の場合、調理中は料理に集中している事が多く、コミュニケーションを取るのは、食事の最中。
ただし、来客の際は、会話をしながら料理することもあります。
料理しながら、コミュニケーションが取れなくて困っているという状況だとしたら、対面キッチンにすることでメリットを感じられるでしょう。
「今はできていないけど、対面キッチンで料理しながら、コミュニケーションが取りたい」という要望をお持ちだとしたら、コミュニケーションとは、どんなことをイメージしているのか?どういうシチュエーションで、何をすることなのか?具体的に考えられると良いと思います。
家が変わっても、住む人は同じです。
現在、料理の最中にコミュニケーションがない場合、「対面キッチンに変わったら、家族のコミュニケーションが増える」ということは、期待しすぎない方が良いでしょう。
むしろ、ゲームばかりやっている子どもの様子が見えて、自分の機嫌が悪くなるなら、マイナスのコミュニケーションが増えるだけかもしれません。
他にも、「宿題をするお子様の様子が見られる」という理由もよく見かけます。
上記と同じで、料理しながら宿題を見なくてはいけない状況が、どれだけあるかを考えてみてください。
「宿題を見る」と言っても、そのスタンスは色々。カウンター越しに、様子だけ見られたら大丈夫だったら、対面キッチンでも良いですね。
しかし、隣りに座って掛かりっきりだとしたら、むしろ対面キッチンの方がデメリットかもしれません。
お子さんに呼ばれた場合、対面キッチンだと、わざわざダイニングまで移動しなければなりません。
また、お子さんによっては、宿題を見るのは小学校低学年まで。
30年以上も住む家。ダイニングで宿題を見るのそのうちの数年です。
何に価値を置いてキッチンを考えるかをという視点でも考えられると良いと思います。
夫婦共働きで忙しい夕食の準備だとすると、料理をしながら悠長に会話を楽しむ余裕もないかもしれません。
だとしたら、家族で一緒に料理しながらコミュニケーションが取れるキッチンという視点でキッチンを検討する方が良いかもしれませんね。
シンクや作業台が片付いていなくてもリビングから見えにくい
キッチンが散らかるのは、キッチンの作業台だけでしょうか?
リビングから丸見えの対面キッチンのカウンターが、いつも物で溢れてしまうというのは、片付けのよくあるお悩みです。
対面キッチンだから、散らかったキッチンの様子が見えないわけではありません。
これはキッチンの形状ではなく、片付けの問題です。
キッチンのどこが散らかっている事が嫌なのか、何が片付けの妨げになっているのか。
また、どんな状況の時に散らかったキッチンが見えるのが嫌なのか。食事時?リビングでくつろいでる時?
散らからないキッチンは、キッチンの形状や間取りだけでは解決できません。
物の見直し、片付けやすい仕組みにすることが重要です。
大切なのは自分の生活に合っているかどうか
今回、お客様より相談をいただいたことで、対面キッチンについて、私なりに考えてみました。
今の世の中、対面キッチンが、あまりにもてはやされているので(笑)、少し違う視点で考えて判断するきっかけになったら嬉しいです。
我が家を考えた時、もし今、リフォームするなら、対面キッチンにこだわらずに考えると思います。
キッチンに2人立つ場合を考えても、対面キッチンだと狭い通路で行き来するので、対面じゃない方が良さそうです。
子どもも大きくなり、これから、歳を重ねることを考えると、動線が短い壁付けキッチンは楽そうだなと思います。
家族の変化、自分の変化に伴うライフステージによっても、使いやすいレイアウトは変わります。
大切なのは、キッチンの形状だけを見て判断しないということです。
リビングとダイニングで、どんな風に過ごしたいのか?
家族にとって、食卓はどんな場所なのか?
なんのために、どんな料理を作っているのか?
LDKで、家族はどう過ごしたいのか?
なんのために、新しい家を建てるのか?
目指す理想の暮らしをイメージしてみてください。
あなたにとって、適切なキッチンの形が見えてくると思います。
「対面キッチンだったら良いだろう」ではなく
「やっぱり我が家には対面キッチンが良い」という答えになるまで、色々と検討してみてください。
納得の家になるはずです。
「この間取りで本当にいいのかな?」とモヤモヤした気持ちを抱えていたらご相談ください。
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